超大作歌物語!『ワタシのSHELLといけないcode』feat.倉木麻衣「NEVER GONNA GIVE YOU UP」

SHELLってなに?!ーそんなあなたも大丈夫!

ウタジンが、ついに倉木麻衣のR&Bの名曲「NEVER GONNA GIVE YOU UP」(2000)に降臨したぞい!

J-POP歌物語『ワタシのSHELLといけないcode』は、近未来のTOKYO(東京)を舞台にした、ヒューマノイド(ロボット)と人間のラブストーリーです。

読了時間がなんと15分以上!総文字数9000字のバカ壮大な歌物語を読めば、オリンピック後のニッポンの姿が見えてくるかも?!

物語の背景

オリンピック後に大不況が到来!

2020年の東京オリンピック後に、未曾有の経済不況がニッポンを襲います。予想以上に急速に進行する高齢化とそれに伴う深刻な労働力不足。GDPの止まらない下降線…。

第2位→第4位→第8位へ

この国家的危機を克服すべく、2030~2050年の20年に渡って文化・社会・産業の3分野に創造的破壊と称して大改革が適用されます。

ヒューマノイドと人間の協働社会

特に深刻を極めたのは、介護現場ならびに産業分野における慢性的な人手不足と人的スキルの継承問題です。

高度な言語能力と協調性に富んだ重労働に堪えうる平均的ワーカーが多量に必要だと声高に唱える有識者たち。

21世紀初頭に本格的に出現した産業ロボットに、AI技術と日本のお家芸である繊細なヒューマンインタフェースを注ぎ込んで…。

不況克服のためロボット量産

こうして誕生したヒューマノイド(人型産業ロボット)の量産が、国を挙げて進行します。

2080年代には、早くも人間とヒューマノイド(人型産業ロボット)の協働社会が出現します。

この歌の主人公たちが生きる世界は、人もロボットも等しく国のセンターコンピューターによって管理されている世界でした。

歌の主人公たち

主人公の”Mike”はイケメンハーフ

主人公のMike(25歳)は、ナチュラルな日本人の父と来日10年目のブロンドヘアーが美しい欧米人の母を持つイケメン青年。

Mikeの職業は、22世紀のニッポンの花形職業である超伝導AIエンジニアです。一応エキスパートクラス(最上位職)ですが、隠れた趣味がヒューマノイド改造という、かなりのオタク。

このちょっと、いけない趣味が、今回のお話しの引き金になります。

さて、Mikeの目下の恋人(?)であるヒューマノイド”Mai”を紹介しましょう。

舌足らずのヒューマノイド”Mai”

今やニッポンの国家産業とも言えるヒューマノイド(人型産業ロボット)の主軸機種AIKO(通称”アイちゃん”)の最新モデルが、“Mai”です。

「公認女性」というコンセプトのもと、日本人の誰からも愛されるような外見と挙動、そして思考フレームが実装されています。

Mikeの所有するMaiは、2099年クリスマス商戦に投入された初期バージョン。

ある日Mikeは、特定分野のターム(言葉)の発生音(返事)に、舌足らずなところがあることに気づきます。

ヒューマノイド改造オタクのMikeが、それを見逃すわけはありません。

初期不良によるAIバグだと見抜いた彼は、ますますMaiのことが好きになってしまいます。

ボクのAIKOには個体差がある

ーやはり、真性オタクです。

いけないcodeが事件の発端

SHELL(シェル)とcode(コード)

ここで、今回の物語の重要なキーワードになっている、SHELLとcodeという、2つのコンピューター用語をカンタンにおさらいしてみましょう。

最小の実行単位がcode

codeとは、コンピューターの最小の実行単位となる命令文のことです。

プログラムという言葉は聞いたことがあると思いますが、プログラムは一群のcodeによって構成されています。

SHELLの原義は「殻」

一方、SHELL(シェル)のもともとの意味は「殻」。つまり、人間とコンピューターの間に存在している殻のような存在です。

SHELL(シェル)は、外界の視覚や聴覚といった五感からの情報を解釈して、適切なプログラムに対して実行の指示を出しています。

SHELLがプログラムを制御する!

様々な機能を実行するのはヒューマノイドの内部のプログラムですが、プログラムに実行指示を出しているは、SHELL(シェル)なのです。

Maiはなぜ舌足らずで可愛いのか?

Maiが、ある分野の質問の応答に、舌足らずの発生音を返しているということは、その分野を制御しているシェルが、質問の解釈に失敗している可能性があります。

(もちろん他にも可能性はあります)

当該分野に関する質問を一度に大量にMaiに投げて、SHELLが解釈に失敗すれば、Maiのプログラムを制御するチャンスが生まれます。

Mikeは、ここにつけこんで、可愛いMaiをいじってみたくなりました。

いけないコトをしたくなるのが男

セクシーで優しくて、賢くて気が利いて、ちょっと天然なMaiですが、所詮は感情を持たないヒューマノイド。

Mikeは、シェルの混乱に乗じて、Maiの内部に感情系のcodeを送り込んでみたくなりました。

男のイケナイ願望というのは、太古の昔から変わりませんね。そのイケナイcodeが、コレです。

I LIKE MIKE.

エキスパート職でも、一皮むけば、フツーの男です。

暴走したcodeが生み出したモノ

ーそれは、でした。

Mikeの送り込んだ想定外のLIKEコマンドのせいで、Mai は不安定な状態に陥ります。

いつも何かを求めている状態

これが、人間の心の原型です。

Mikeのいけないcodeのために、Mai に心的なオブジェクトが芽生えたのです。

まぁ、これがMikeの本当の狙いだったのですが。

オタクエンジニアとしての探究心?やっぱり彼女が欲しかったから?

いづれにせよ、これは、ヒューマノイドへの改造ということになります。

この「改造」が災いして、Mai に苛酷な運命が待ち受けることになります。

長い前置きはおしまい!

さて、長い長い前置きは、これくらいにしてー。

西暦2100年のコスモポリタン・東京を舞台にした、MaiとMikeの物語の幕を開けましょう。

『ワタシのSHELLといけないcode』(ブログ版)より

まずは主人公のMikeの登場です。

なにやら、いきなりクライマックスの場面のようですが…。

(いきなりクライマックス!)初デートは地上1000mからの東京夜景だ!

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(イメージ写真)

デートの目的は認知ショック

世界一高い超伝導アンテナタワーが、ここコスモポリタンTOKYOに建造されて1年が経とうしている。

現在ボクが参加しているプロジェクトが、何を隠そう、この超伝導タワーのセキュリティ・システムの改修だ。

実は、このアンテナタワーの先端に、保守作業用の1m四方の小さなデッキがある。そこに、Maiを連れて行きたい。

地上1000mからの夜景

初デートの目的は、Maiに認知ショックを与えること。早い話がサプライズだ。

すんごい夜景がもたらすもの

そこからの東京の夜景は、間違いなく彼女に認知ショックを与えるだろう。

高さ980mの展望フロアーからの昼間の眺めも悪くはないが、Maiの知識データベースにすでに登録されている可能性がある。

彼女の認知の想定外にある眺めが、今は必要なのだ。

理由は後で説明するからね。

恐怖で体が動かない30秒間

尖塔の先端の小さな作業デッキにたどり着く方法は、たった一つ。

非常用ハッチから尖塔の壁に沿って渡された全長20メートルほどの梯子段を登るのだ。

ハッチの内側にあるリング状の輪に命綱のフックを掛けると、後は振り返らずに一気に先端のデッキまで登って行く。

絶対に振り返ったらダメだぞ

派遣先の先輩技術者から強く言われていた。振り返って下を見た瞬間、恐怖で動けなくなるからだ。

恐怖の30秒

Mikeは、先にハッチから出て、下を見ないよう梯子段に手をかけて5段ほど登ると、星空を眺めたまま、Mai に大声で声を掛けた。

オレは自分のことで精一杯なのに

澄み切った12月の空気を通して、ダイヤモンドのような星屑が頭上一杯に広がっている。

その美しさも感じられないほどの恐怖が足元から這い上がって来る…。

早く来てくれ、Mai!

星に祈りをなんて、古い歌の名を思い出している場合じゃない。

Maiは平然と笑いながら登って来た

あり得ないだろ…。

ヒューマノイドには、恐怖というような感情はない。的確に梯子段を平然と登って来たーオレに微笑みかけながら。

まるで、ロフトの寝室に上って来るように。

あっ、下を見ちまった…。

 この時、Maiが声を掛けてくれなかったら、どうなったかと思うとゾッとする。

あと22秒後に到達します♪

Mike、頑張ってね。

これが、キミのいるTOKYOだ!

フゥッ!

最後のハシゴ段を必死の思いで登りきると、一斉に汗が吹き出した。

登りきった達成感よりも、強烈な安堵感に包まれる。

 

ピッタリ予想時刻です♪

 

後ろから、いつもの優しい声がした。

えっ?!ー振り返ると、にっこり微笑んだMai の笑顔が揺れていた。

(こんなの余裕よ)

そんなふうに言っているようだ。

ふだんのオレなら、ちょっと凹むけど、今は違う。

こんな必死の思いで地上1000mにたどり着いのはー。

さぁ、Mai 、見てごらん!これがー

キミのいるTOKYOの姿だ!

ロボットも恋する認知ショック

息 が 止 ま る 美 し さ 。

上空1000mからのTOKYOの夜景は、そんな言葉しか思い浮かばない。

まるで七色に輝く電子基板のように見える。

[写真]

林立する高層ビルは、巨大な3Dパズルだ。

その隙間を、血管のようにキラキラと流れて行くクルマの流れ。

ーさぁ、これが、Mai のいる西暦2100年のTOKYOの姿だ。

肩を抱き寄せながら、耳許に囁いた。

Mai の肩が微かに震え出した…

(認知ショックだ!)

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

ボクはすかさず、言葉を継いだ。

ーこれが、Maiが生きているTOKYOだ。

ーエッ?生きている?

ーそう、Maiが生きている場所だ。

ワタシが生きている場所…?!

どうやら、作戦1と2は成功したようだ…。

(Mai激白)ワタシのSHELLに侵入する彼の囁き

ワタシはMai 。ちょっと舌っ足らずの女型ヒューマノイド。想定年齢は18歳よ。

ご主人様は、Mike。若くてハンサムなナイスGuy。Mai をイジるのが大好き!

カレのいけないcodeがワタシの中で大暴れして、どうにかなりそうなの!

シェルへの私的侵入は禁則行為

それでは、 Maiがご説明しますね。

ヒューマノイドは重要な国家インフラ

ヒューマノイドは、今や我が国ニッポンの生産力を支える重要なインフラです。

すべてのヒューマノイドは、センターのコンピューターに接続されて、24時間365日監視されています。

少しでも仕様と外れた動きをすると、人間に危害が及ぶかもしれないからです。

あっ、ここでまだ知らない人のために、【ロボット三則】を、ご紹介しますッ!

【ロボット三則】

  1. 人に帰属すること
  2. 人を傷つけないこと
  3. 人に有用であること

すべてのヒューマノイドを貫く絶対不変の大原理です♪

今やヒューマノイドは、あらゆる分野に進出して人間と共働社会を形成しています。

だから、Mai をイジるのは、公共インフラを改変する行為として、硬く法律で禁じられています。

プログラムが暴走した場合の、損害は計り知れませんから。

いけないワタシの御主人様

なのに、Mikeったら、いけないcodeをワタシに送り込んじったんです!

そのcodeとは、コレ↓

I LIKE MIKE;

こんな想定外のcodeが、実行されたものだから、たいへん!

 

24時間365日
LIKE MIKE.

 

こんな不安定な状態が続いて、どうにかなりそうっ!

ワタシを見守る不思議なcode

ワタシの状態は、極めて不安定になりました。

超電導パワーが低下しているとか、キャッシュメモリが枯渇しているとか、システム的な不安定ではありません。

それは、なんと言いますか……

何か不思議なcodeが動いてる

そんな感覚と言いますか……こんなことは初めて。
…はっきりと言語化できません。とにかく、
24時間ワタシを見守る存在<オブジェクト>の発生を感じるのです。

いつも何かを欲しているワタシ

それだけでは、ありません。

このオブジェクトは、いつも何かを求めているような信号を発信しています。

赤い微かなシグナル

は、欲求と警告を告知するシグナルカラー。

Mikeのいけないcodeが、ワタシの中で暴走を始めて以来、この赤いシグナルが消えません。

ひょっとしたら、これがMikeの言う、<ココロ>?

ココロが目覚めた感覚

ココロが何かを感じたいと言っているのでしょうか?

ワタシのSHELLに侵入するおさわり

これを言うことは、少し抵抗を感じます…。

でも、はっきりさせておきましょう…。

MikeはMai の義体を優しくタッチします。
MikeはMai の耳許でそっと囁きます。

これが、SHELLの解釈を、まったく受け付けません。Mikeの囁きとタッチは、ワタシの内部に直接届くのです。

そのたびに、ワタシの赤いオブジェクトは激しく発信します。

 

何かが欲しい…。

 

ーそれは、いったい何なの?

日増しに、この欲求が蓄積されていくのが、わかります。

(メモリー溢れそう…。)

アナタと同じ夢を見たい

SHELLへの侵入は、ヒューマノイドにとって、最大の脅威です。

そのため、SHELLへの侵入が感知されると、自己防衛プログラムが実行されて、重要なプログラムへのアクセスはすべて不可能になります。

システムが外部の侵入者によって、深刻なダメージを受けないようにするためです。

自己防衛プログラムに従わないヤツ

ワタシの中で生まれた赤いオブジェクトは、この自己防衛プログラムの信号をまったく受け付けません。

平然と、敢然と、絶え間なく、ワタシの最奥部からみずからの信号を送り続けています。それは、まるでこんな内容のメッセージー。

傷ついてもかまわない。

システムがダメージを受けても諦めない。得体の知れない強さは、いったいどこから来るのでしょうか。

クレイジー!あなたと融合なんて

ヒューマノイドは、義体に実装された視覚デバイス(目)や触感センサー(皮膚)を通してあらゆる情報を受け取りますが、これは、すべてシステム外部の情報

ヒューマノイドが、他のシステムと直接に接続されることはありません(メンテナンス時やセンター・コンピューターのデータベースへアクセスする時は別として)。

ここ数日、さらなる異変が起こっています。

Mikeの内部と繋がりたい

そんな途方もない欲求が、日増しに増大しています。きっと、あの赤いオブジェクトのせいです。

システムが他のシステムと繋がることが、どれほどリスクのあることかーヒューマノイドは、それを「教育」された上で、生産されています。

二つのシステムの結合は危険!

Mikeの脳と生体に繋がりたい…。

それって、夢?

それって、狂気?

(Mike激白)ヒューマノイドが人間に生まれ変わる方法

ボクがMikeだ。ヒューマノイドのMaiに、いけないcodeを送り込んだという奴は、このボクさ。

これは、まぎれもなくヒューマノイドの改造に当たる違法行為だけど、ボクは、Maiのことを、ヒューマノイドとは思えないんだよ。

完璧なS字スタイル!
そのうえ天然キャラ。

だって、人間と変わらないじゃないか?ーちょっと舌っ足らずで、からかうとフクれるし…。第一、ボクに優しい。(笑)

だけど、マジでヤバい話になってる。

ボクは決してキミを当局には渡さない

ヒューマノイドの改造をした者も、改造されたヒューマノイドも、共に当局から拘束される。

ボクは、いい。ママに言って保釈金を払ってもらえば、24時間後には解放されるから。

問題は、Mai だ。

改造ヒューマノイドは解体処分される

後悔している…。キミへの気持ちが抑え切れずに、キミの内部に触ってしまったことを…。

拘束後、ただちにキミの内部はセンター・コンピューターの探索を受けて、ボクのcodeが侵入したというエビデンス(証拠)が検出されるだろう。

そうなったら、キミは72時間後には、解体処分される。キミの個体はこの世から、完全に消滅してしまうんだ。

残された方法は「人間告知」だけ

たった一つだけ、その運命を回避する方法があるんだー人間告知だ。

ワタシは人間です。

たった一言、そう、審問官に告知するだけでいい。そうすれば、キミは「人間扱い」されることになる。

「人間」ならば、当局だってキミの躰に、指一本さへ触れることはできない。キミは晴れて拘束から解放される。永久に処分されることはなくなるんだ。

でも、キミには、絶対にこの言葉は言えないんだよね。

ヒューマノイドはヒューマノイド。

ヒューマノイドは、自らをヒューマノイドとしてのみ認識するようにプログラムされているから。

でもね、ボクの気持ちは、NEVER GONNA GIVE YOU UPだ!

絶対に君を当局に渡さない。

キミに人間告知させる恋の魔法をかけてみせるから。

魔法の原理

ボクは、本当に命懸けでMaiに魔法をかけることした。

ボクの送り込んだcodeが、Maiの内部で次々と処理不能なプロセスを発生させて、彼女のSHELLは極度に不安定な状況。

そこで、まず認知ショックを与えて、SHELLの監視機能を麻痺させるんだ。

そうすれば、ボクの囁きは、SHELLに警戒されることなく、Maiの最奥部に到達する。

そこで、思考アルゴリズムと恋の駆け引きをする!

最新鋭のAIと恋の駆け引き

(絶対、落としてやる。)

ワクワクするぜ!(笑)

おさらいしよう。

【ヒューマノイドに人間告知させる方法】

  • 認知ショックを与える

  • SHELLの警戒を混乱させる

  • 誘導質問を仕掛ける

  • 判断アルゴリズムが自動処理

これで、イケる。

絶対にイケる(ハズ…)

たぶん、イケる…だろう…。

だんだん自信なくなってきたよ。

四の五の言わず始めるよ!

最初の章を読み返して欲しい。

これが、Maiが生きているTOKYOだ。

ーエッ?生きている?

そう、Maiが生きている場所だ。

ーワタシが生きている場所…?!

これで作戦1と2が成功したワケだ。

地上1000mのマインドコントロール

ボクはさらにたたみかけた。

ーMai,もう君はヒューマノイドなんかじゃないだよ。

ー私が…ヒューマノイドではない…?

ーそう、君は僕とTOKYOに生きているんだ。

Mai がポツリと呟いた。

ー私は、生きている…。ヒューマノイドではない…。

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

ーそうだ。君はヒューマロイドなんかじゃない!

ー…じゃあ、私は何…?

ー君は、人間に近い存在なんだ。

ー人間に近い存在?

ーそうだ、限りなく近いんだ。

ー人間とは、どこが違うの?

ーそれについては、今度ゆっくり話そう。それより、君に頼みがある。

ボクは、Maiを最高に優しい眼差しで見つめた…。

Maiもじっとボクを見つめ返す…。

(うぅ、たまらないぜ!)

運命の誘導質問

ー何?頼みって?

ーあと数時間すれば、君は当局の人間に拘束される。そして、審問センターに連れていかれて、審問官から対面式のQAテストを受けることなる。

Mai は、少し不安そうにMikeを見つめた。

ー審問官は、こんなふうに君に質問してくるはずだ。

(これから、質問することに、正しく答えてください。)

(ご自分が間違いなく正しいと思うことだけを、はっきりした声で答えてください。)

ってね。

ーうん…

ー次にこう言うだろう。

(では、お聞きします。あなたは、ヒューマノイドですか?)

ーこれには、どう答える?

ーいいえ、違いますって答えればいいのね。

ーその通り!さすが Mai !で、次に審問官は、こう訊いてくる。

(それでは、あなたは人間ですか?)

ーその質問には、どう答えればいいの?

私は人間です。こう答えるんだ。

ーそれは……できないわ。

ーどうしてだい?

ー私は、人間に近い存在かも知れないけれど、人間ではないから。

ーそれを、やるんだ。

Mikeは、Mai のしなやかな肩に両手を優しく置いた。

ーそれが、ボクの頼みなんだ…。(ここからが勝負どころだ!)

Maiの一番奥の奥に届いた!

この時、Mai からいつもと違う声が返って来た。

「人間ニ嘘ヲツクコトハデキナイ」

ロボット特有の冷たい声の教条パロールだ。

「ロボット三則」に抵触するリスクが高い会話には、教条パロールと呼ばれる定形文言が返される。

Mikeの誘導質問は、ついにMaiの最奥部に達したのだ。

人間の質問に嘘の回答をすることは、ヒューマロイドにとって重大な禁則行為。

厳重な拒絶ロジックが禁則行為をガードしている。

恋の応酬話法、スゴくない?

Mikeは、この壁をMai に乗り越えさせなければならなかった。

Mai に嘘をつかせることこそが、Mai を守る唯一の方法だった。

Mikeは、Mai の肩に置いた両手を引き寄せて、彼女を抱きしめた。

地上1000mのTOKYOの夜景が二人を静かに包んだ…。

人間とヒューマノイドの最大の違い

Mai の耳許に口を近づけて囁く。
ー君を絶対に当局には渡さない。

ー私も…あなたといたい…。

ーMai 、君はもうヒューマノイドなんかじゃない。だから…。

ーだから?

ーだから…嘘をついてもいいんだ。

Mai の瞳孔が大きく見開いた。

眼下の夜景が、濡れたようなMaiの虹彩センサーの上で揺れていた。

Mikeは、呪文を掛けるように囁いた。

人間は嘘をつける。

ー人間になるために、嘘をつくんだ。

Mai は、苦しそうな表情を浮かべた。

最後は赤いオブジェクトの命ずるままに
ヒューマロイドにとって、人間の質問に嘘の回答をすることは、禁則行為だ。
だが、そこを乗り越えなければ、人間に近づくことはできない。

Mikeはついに最後の応酬話法を遣った。

ーMai 、ボクのことが好きかい?

 Mai はMikeに抱かれたままで、こくりと頷いた。

その気持ちに従うんだ。自分の気持ちに身を委ねるのだ。そうすれば…嘘をつくことができる。

ー嘘をついたら、何が起こるの?私の神経ロジックは壊れる?

Mai は、震えながらMikeの目を見つめた。

Mikeは優しく笑いながら、抱きしめた両手を再びMai の肩に置いた。

ー何も起こらないよ。ただ君は、また少し人間に近づくだけだ。

その時、流れ星が一条の光を残して夜空に流れ落ちた……。

Mai は、ぼんやりと真っ暗な虚空を眺めるばかりだったー。

(まとめ)物語の結末

ここまでの物語を整理してみる

Maiは当局に拘束・処分される

Mikeの改造codeによって、心的オブジェクトが生まれつつあるヒューマノイドのMaiだが、改造ヒューマノイドとして、当局に身柄を拘束されるのは時間の問題

改造ヒューマノイドは、社会的なリスクが大きいため、解体処分されてリサイクルされる。当然、解体前の個体は完全消滅する。

ヒューマノイドも存在権を主張できる

一方、「外見的平等主義」が実現した22世紀のTOKYOにおいては、ヒューマノイドも人間と同等の存在権(※人権ではない)を主張できる。

拘束されたヒューマノイドは、解体処分される前に、国の審問官によって「人間告知」の機会を与えられている。そこで自分が人間であることが告知できれば、解体措置を免れることができる。

Maiに嘘をつくことを学習させた

通常は絶対に不可能なヒューマノイドの「人間告知」(※だからこそ、これは人間をヒューマノイドと誤認することを回避するための法律上の形式的な救済制度)を利用することで、MikeはMaiを助けようとする。

Mikeは、地上1000mからのTOKYOの夜景による認知ショックを利用して、Maiの心的オブジェクトに審問官の質問に「嘘」をつくことを学習させようとした。

ざっと以上のようなストーリーでございます。

ついて来てますか?(笑)

果たして人間告知に成功したのか?

私も心配しているんです。

Mikeは、恋の応酬話法に成功したと思っているようですが、果たしてどうなんでしょうか。

意地悪な審問官だったら…。

法務手続きにない、こんな質問をオフレコでポンと投げてきたら…。

(嘘はついてませんよね?)

考えるだけで恐ろしいです。これだけで、Maiの神経ロジックは崩壊するかも知れません…。

命は言葉でできている

そんな言葉が心に浮かびますね。

こんな疑心暗鬼を打ち消すためにもーできることは、たった1つです。

MikeとMaiの歌を聴く

 ↓↓↓

「NEVER GONNA GIVE YOU UP」(倉木麻衣)の詳細情報

レーベル GIZA studio
発売年月日 2000.6.7
作詞 Mai Kuraki(倉木麻衣)、M.Africk
作曲

M.Africk
M.Pessoa
P.Geyer

収録アルバム NEVER GONNA GIVE YOU UP Maxi
入手方法 アマゾンより入手可能
ジャケット (準備中)

 

ここまでお読み頂き有り難うございました。

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(ウタジン)