音楽を捨てたボクが歌にこだわる理由(人生編)

空気のように音楽が溢れている「今」だけど、ボクが物心ついた頃は、そうじゃなかった。

音楽自体が、特別な存在だったような気がする。

それは1ヶ月のお小遣いをはたいて買う宝物だった

当時LPレコードは、1枚2,500円以上した。2枚組なら5,000円前後。

レコード以外にも、文庫本とか喫茶店のお茶代なんかも、お小遣いから出していたから、毎月1枚買うのが精一杯。

その一枚を決めるために、何十回もレコードショップに足を運んだ。

それは細心の注意を払って仕掛ける爆弾のような代物だった

大きな黒い円盤を、レコードプレーヤーの回転台の上に、そっと両手で 置く。

スイッチを入れて、回転し出した無数の溝の一本を目がけて、針に糸を通すような気持ちでレコード針を置いたものだ。

それからの45分間は、まさに至福の時間だった。

それは無限の想像力を搔き立てる魔法の調べだった

ギターの運指は、いつも秘密のベールに覆われて、ボクの想像力を無限に掻き立てたものだ。

すべてのメロディと言葉は、いつも唯一無二の存在で輝いていた。

たった一小節のために生活のすべてを費やした。

ボクにとって音楽は経典だった

人生を音楽で始めた者にとって、それはまさしく命と引き換えに血肉化する教典を意味した。

音楽を通して、人生を夢想し、人生を設計し、 人生に挑戦した経験をした者は、誰しもそんな思いで音楽を聴いていたはずだ。

たとえ、それからの人生の現実が、音楽の理想と真逆の結果に終わったとしても、自分が音楽を触媒として人生を燃焼させた事実には変わりがない。

人生の入り口はたった一つ

人生の出口は無数にあるかもしれないが、入口はたった一つだ。

うまく言えないが、一度音楽を捨てた僕が音楽にこだわり続ける理由の一つは、そこにある。

もし、あなたが大切にしたい価値観が分からなくなった時は、心の時計を人生の入口に戻してみるといいだろう。

きっと自分の軸が見えてくるはずだ。